記録の大切さ 学童保育の仕事「なぜ記録することが大切なのか?業務効率化やトラブル対応に欠かせない理由」

目次

記録の大切さ

 支援員の皆さん記録はとっていますか?一言で記録といってもどのような記録を表しているのか様々な種類がありますよね。学童保育の支援員としてなぜ記録が必要なのかを解説していこうと思います。

一般的に仕事上における記録について

仕事で記録することは非常に重要です。以下はその理由です。

  • 記憶力に限界があるため:人間の脳は、一度に覚えられる情報には限界があります。重要な情報を書き留めることで、必要な情報をいつでも簡単に取り出すことができます。
  • ミスを防止するため:重要な情報を記録することで、ミスを減らすことができます。例えば、ミーティングの議事録を取ることで、議論や決定事項を正確に記録し、後で確認できます。
  • 他の人と情報を共有するため:仕事では、他の人と協力して作業を行うことがあります。記録を共有することで、同じ情報を持っていることが保証され、作業の効率性が向上します。
  • サポート文書になるため:記録は、将来の参照や説明に役立つサポート文書になります。特に、プロジェクトの進捗状況や問題解決のプロセスを文書化することで、将来の参照に役立ちます。
  • 法的問題を回避するため:契約や法的合意などの重要な書類を正確に記録することは、法的問題を回避するために非常に重要です。

以上の理由から、仕事で記録することは非常に重要であり、仕事の効率性を向上させることができます。

みなさんは記憶力に自信がありますか

 記憶力がとても優れていて全てを覚えているなんていう超人的能力があれば記録など必要ないかもしれません。全てを記憶の引き出しから持ってこれば良いのですから。しかし、多くの方が「なかなか覚えられなくて」「記憶力には自信がなくて」という方ばかりではないでしょうか?先の項目にも書いた通り「記憶力に限界があるため」は皆知っています。

 私も普段からあまり気にしていないことは思い出そうとしても思い出せない事は多いです。3日前に食べた夕飯の事も思い出すのは一苦労です。

そんな状態でも全然問題ありません。人間は自分にとってあまり重要でない事は忘れていき、新しい情報を記憶する。忘れることで新しいことが吸収できるので普段の生活においては問題ありません。大事な事や自分の興味のあることなどは、長期記憶となり健康な状態なら忘れる事ってあまりないですよね。

 しかし、

 保育の仕事において(他の仕事もですが・・・)いざ何かあった時に「覚えていません・・・」「わかりません・・・」という事になってしまうと大問題になってしまう可能性もあります。

 そこで『記憶だけではカバーしきれない部分』、『他の誰が見てもその状況などが分かるように』を記録として残しておくということが必要になるのです。

保育または業務上の記録をつける事の必要性

 保育・保育以外の業務において「どうして記録が必要なのか」を解説していきます。

記録の必要性の前に学童保育がどのような場所かを簡単に振り返っておきます。

ポイント
学童保育は生活の場である

子どもたちにとって、学校が終わり、放課後に返ってくる場所であり、長期休暇などは日中における生活の場そのものであります。

ポイント
生活の安全・安心を保障するだけでなく発達は育ちも保障する

安全や安心はもちろんのこと、子どもたちの発達を理解し、その揺らぎや思いを受け止めたうえで、子どもたちの主体的な活動を十分に満たせる場であることが重要となります。

ポイント
子どもだけでなく保護者もサポート

日々の生活の維持はもちろんのこと、子育てをしている保護者の悩みや思い、不安を受け止め、ともに子育てをする仲間の役割もあります。

このような役割をいくつも併せもつ学童保育だからこそ、日々の子どもの様子を丁寧に理解し、振り返る事のできる環境作りがとても大切となります。

 みなさんは記録はつけていますか?

『必要だと分かっていても中々できていなない。』『必要に応じて記録をしているなど状況は色々とあると思います。』記録は保育にだけ必要なものではありませんので、日常の生活、趣味、勉強などなどにも利用できます。

次は具体的に記録について説明します。

客観的な記録となる

 保育に限らずですが、記録が残っているという事は非常に重要です。実際に起こった事、話した事、開催された事などなど、記録が残っていればその場に居なかった人にもイメージできます。

 逆に記録が残っていないと実際にあった事なのか?正直怪しいという事にもつながってしまいますよね・・・事実をしっかりと記録しておくことは、何かあった時の資料ともなるので残しておくことは基本です。

「放課後児童クラブ運営指針」にも”記録”を作成し保存することが職務や業務として示されています。

児童・保護者関連
保育記録

 対象の日の保育内容について記録されたものとなります。記録の内容はそれぞれのクラブによって違うでしょうが、『出席児童数・出欠席記録、保育時間内に行われたこと、おやつの内容、タイムスケジュール、児童の帰宅時間、ケガや病気の有無、申し送り事項』のような内容が主に記録されます。

児童の記録

子ども達の様子を記録しておくものとなります。『良いことも良くない事も、誰と良く遊んでいるのか、トラブルがあった場合どう解決していったか、成長した点など』様々な事を記録しておきます。

 記録をつける範囲が「個人単位なのか?学年単位なのか?特に気になる子なのか?はたまた他の方法か?」など用途はクラブによって支援員によって違いは出てくると思います。

保護者会・打合せの記録

会議などでしたら議事録、打合せ等でしたら簡単な実施内容の記録となります。話し合われた内容を客観的に記録していき、欠席してその場に居なかった方にも配布をしたり共有したりできるようにしていく記録となります。

業務関連
勤怠管理記録

出勤・退勤の記録も記録を取る事の1つですね。タイムレコーダーなどでの自動印字を本人が適切に行う事で正確な記録が取れると思われます。職員間でのずれ勤務などがあるクラブでは他の職員からみても出勤状況が分かるようにしておかなければなりません

作業記録

自分の行ったその日の業務を記録しておく事になります。学童クラブなどはどうしても少人数の職場となり、保育前などは1人で仕事をしている事もあるかもしれません。そのような誰も見ていない時間帯も記録を残しておくことで何をしていたかが明確になります。

研修記録

 クラブ外・クラブ内共に研修を受ける機会が確保されている事も多いと思います。研修内容、日時、学んだ・生かせる内容等を記録に残しておき、どのような研修があったのか、学んできたのかを記録として残しておくことも大切です。

金銭の出納記録

現場で必要なおやつや教材・消耗品等を小口現金などがあり、支援員が必要に応じて購入しているというケースもあると思います。金銭の出入りの記録がある場合はしっかりとつけておくことは必要となります。

 「お金が足りない・・・」なんて事があってしまうと嫌な感じになってしまったり、何もないにしてもあらぬことを疑われてしまう事になってしまいます。

 客観的な資料という事となると、行政からの委託制度や補助金制度で運営しているクラブにとってはクラブの調査や監査時に提出や調査を求められる資料も中にはあります。提出が必要な記録は公式なものとなりますので、クラブ内にて適切に管理・保存しておきましょう。

継続した記録は子どもの変化の原因などにも気づきやすい

 保育の現場では、子どもたちの成長や発達を観察し、その記録を取ることが重要です。これにより、子どもたちがどのような成長や発達を遂げているのかを把握し、適切な支援を行うことができます。また、記録によって、子どもたちの成長や発達に関する詳細な情報を保護者と共有することができます。

 継続して記録を取っていると変化の原因にも気づきやすくなります。

 「何だか最近様子がおかしいな?」と思う子がいたとします。様子がおかしいのには「何か原因があるか」、「何か目的があるか」のどちらかに大きく分けると分類されると思います。

 その子の記録が有り、様子がおかしくなる前に揉め事があったり、気になる一言を言っていたなどということが分かれば原因の1つであるかもしれなくフォローがしやすくなります。記録が残されておらず、支援員も揉め事を解決したと思っていて忘れてしまっていたら思い返すこともできませんよね。

自分の保育を振り返る為、保育の質を向上させる

 保育の質を向上させるためには、保育のプロセスや成果を記録し、改善点を見つけることが重要です。保育での記録は、保育者が保育プログラムの評価や自身の子どもとの関わりを振り返り、改善点を見つけるための貴重な手段となります。また、保育の成果を評価するためにも、子どもたちの成長や発達を記録することが必要です。

 自分の保育について記録を残しておくことも重要です。良い事も悪い事も記録に残しておくと、後に振り返ってみて保育の改善点が見つかったり、良かった事は自信にもつながります。人の記憶は時間がたてばどんどんと曖昧になっていき、自分のしたこともはっきりとは思い出せなくなってしまいます。子どもにどのような声掛けをしたか、どのような対応をしたかが具体的に分からなければ振り返って次に生かすこともできません。

 自分の保育実践を書く際にも日頃からの記録の蓄積が非常に役に立ちます。記録を基に保育実践を書いていく事もよくありますので、コツコツと「印象に残ったこと、良かった実践、うまくいかなかった実践、子どもの言葉」などを記録して書き溜めておくと良いです。

 スポーツ等でも自分のフォームなどを撮影して、後で見返して動きを修正するなど色々な業界で自分の振り返りの為に記録は必要となっています。保育業界に限らず、自分のしている事は見えづらくなりますからね。

保護者とのコミュニケーションの為

 保育者は、子どもたちの日々の様子を保護者に報告する必要があります。保育での記録は、保護者とのコミュニケーションを円滑にするためのツールとして活用されます。記録によって、保護者に子どもたちの様子を詳しく伝えることができ、保護者との信頼関係を築くことができます。

他の支援員や職員・保護者と共有する為

 自分の保育をより良くする為だけではなく、学童全体を良くするためにも情報を共有することはとても大切です。小規模な学童でも1人で保育をするということはありません。記録を共有するという事も情報を共有する1つとなります。

 実際に起こった事の共有だったり、個人の思った事・考えた事色々な事の共有に使えます。自分の保育実践を記録として起こし、他の方と検討する「実践記録検討」にもつながっていきます。先に書いた自分の保育を振り返る為だけではなく、自分の保育を広げる事にも利用することができるのです。

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